2017年1月8日日曜日

獄中記はなぜか面白い、ジョブズの新伝記よみたいぜ


 佐藤優さんの『獄中記』(岩波現代文庫、2009年)を読み始めた。900円だが、息子様の蔵書なのでこちらの腹はいたまない。

 ホリエモンの監獄本もそうだが、なぜかこの種の本は興味をそそる。モンテ・クリスト伯も冒頭の監獄の描写が秀逸だし、詐欺師フェーリクス・クルルも手記仕立てだが監獄で書いたことになっている。赤と黒も最後の監獄中のところで盛り上がる。

 ただし、佐藤優さんのはユーモアのセンスと、折角の機会なのでよく勉強しちゃおうという姿勢がスバラシイ。ホリエモンはマンガが多かったけど。

 ユーモアを持って、実は大変な生活を、なんとか生き延びようとするのは、先生の影響らしい。先生は京都大学の和田洋一さん。治安維持法違反(京都人民戦線事件)で1938年に逮捕され、538日間獄中暮らしをしたと、『獄中記』(4ページ)にある。和田さんの著書『灰色のユーモア』にはそこの経緯が書かれているとも。
 これでまた、読む本が増えたのだが、『獄中記』を読んでいくとそれじゃだめと言われている気がした。

 いっときに所持できる本の数は少数に限られる。数冊程度。筆記は紙とボールペンか鉛筆。インターネットはもちろんご法度。このような修道院的環境の中だが、この環境でこそ、深い勉強ができるとのこと。たとえば辞書を全部読んでしまうなど。語学をやり直そうともしている。そして彼の収監のきっかけである北方領土問題の歴史的意味を知るための世界史の勉強も、深く進行していく。

 そういえば、大杉栄も獄中に語学書を差し入れさせていたと聞く。昆虫記も一部は獄中で訳したか?

 素人は、こんな話を見聞きすると、自分も禁固刑で、入獄したいなどと思ってしまう。冗談です。

 ともかく、乱読状態に陥りがちな私には、参考になる話が満載の『獄中記』。楽しんで(もとい、謹んで)読んでみたい。

 インターネットのわるいところ。「『獄中記』読んでる」とTweetした際に、スティーブ・ジョブズの新しい伝記が出ているとのTweetを見つけてしまった。前の伝記を読んで、ジョブズの悪辣さに辟易した、そして映画を観て浅薄さにあきれた(これは脚本が悪いと思うが)、ので今度はもっと同情的らしいこの伝記を読んでみたくなった。

 日本語版はおそろしく高く、普通の人は手を出さないか古本屋さんで安くなるまで待つだろう。でもどうしても読みたいので、英語版を物色。ペーパーバックやKindle版は安い。Kindle版のサンプルをダウンロードしてみたら、なんとか、Kindleの辞書の助けで読めそうだ。ここにKindleの良さがいくつか発見された。

 ともかく英語版を買って読んでみようという意志は、一晩過ぎた今もあるので、大蔵大臣に相談の上購入したい。

 ともかく、じっくり勉強するには時間がたりないなあ。フルタイムで働いているヒトは相当な努力をしていることだろう。(隠居の戯言!とおしかりの声が聞こえた。)

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